ひだまりカフェ通信 第3号 平成30年7月1日

漢詩編 第1回 故人

 送元二使安西

渭城朝雨浥軽塵
客舎青青柳色新
勧君更尽一杯酒
西出陽関無故人
  王維

 王維は友の元二と渭城の町に一泊し、昨晩は二人で飲み明かしたのであろう。しかし、朝起きてみるとまだまだ話し足らず、飲み足りない気がする。
 元二は今からいよいよ辺境の地、西に向かって旅立とうとしている。もう二度と会えないかもしれないことを思うと、おまえともっと話をしもっと飲みつづけたいと思うのである。
 宿の外は雨がしとしと降っていて、道路の塵を潤し、宿の前の柳の枝を濡らしている。まるで私の気持ちを代弁しているかのようだ。
 さあ、もう一杯だけ飲もうじゃないか、あちらに行ったらもう昔からの友は一人もいなくなるのだから。
 俺はお前のことを決して忘れはしない。お前も俺のことを忘れないでくれ。
 お前の旅の無事を祈念して柳の枝を手向けよう。

 人生で「故人」を一人でも持っている人は幸せである。