ひだまりカフェ通信 第2号 平成30年6月1日

短歌編第1回 恋の歌2首


観覧車回れよ回れ
 思ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)
 栗木京子(昭和59)

 狭い空間の中に若い二人が向かい合って座っている。二人の距離は友達以上恋人未満というところか。男にとって今日一日の思い出だが、女である私にとっては一生の思い出になるかもしれないのに。この歌が長く歌いつづけられてきたということは、ある程度皆が同じように思う普遍性を持っているからかもしれない。

たとへば君ガサッと落葉すくふやうに
 私をさらって行ってはくれぬか
 河野裕子(昭和47)

 大胆な描写である。女性の方から「さらってくれ」と呼びかけられたら大抵の男はたじたじになるであろう。それを堂々と詠んだところに斬新さを感じる。「たとえば~やうに」という比喩表現を冒頭にもってきたところも意外性がありドキッとさせられる。「ガサッと」という擬音語の用法も荒っぽくてもいいからという女性のエロチシズムさえ感じられる。作者をさらったのは同じ歌人の永田和宏であったが、後に、神は河野裕子を永遠に天にさらっていってしまった。