ひだまりカフェ通信 第1号 平成30年5月1日

 目には青葉山ほととぎすはつ鰹 素堂

今年も五月が巡ってきた。新緑、鳥の囀り、おいしい海の幸。先人たちは目や耳や舌でそしてその他の感覚を総動員して季節の恵みを享受しようとしてきた。行楽やレジャーの月でもあり、さわやかに心行くまで楽しむ季節でもある。
 こんな時に必ず思い出す歌がある。シューマン作曲の歌曲集「詩人の恋」第一曲「美しき五月に」である。原詩と日本語訳を下に記してみる。

Im wundershönen monat Mai
Als alle Knospen Sprangen
Da ist meinen Herzen
Die Liebe aufgegangen

Im wundershönen monat Mai
Als alle Vögel sangen
Da hab’ich ihr gestanden
Mein Sehnen und Verlangen

美しい五月になって
すべての蕾がひらくとき
私の胸にも
恋がもえでた

美しい五月になって
すべての鳥がうたうときに
私の胸にもえる思いを
あのひとにうちあけた

 私がよく聴く演奏は、往年のバリトン歌手シャルル・パンゼラが録音したレコードである。アルフレッド・コルトーが伴奏している。
 やがてその恋も失われてしまうことが予感されるような、哀切な甘い声で歌われる。
 五月の魅力と切ない恋心を表現するに余りある美しいメロディである。
「静寂を破るものを雑音と予備、静寂を強めるものを音楽と呼ぶ」
けだし名言である。

 都会に住む者にとっては季節感は失われつつあるが、五月といって思いつく行事に、衣替え、八十八夜、端午の節句、ゴールデンウィーク、立夏、愛鳥週間、母の日などがある。

 人間は仕事に対してと同様に楽しむ場合にも徹底的に楽しむこころが必要である。人生には限りがある。この麗しい季節を目にできるのはあと何回あるかは誰にもわからない。だから今を精一杯生きるのである。よく学ぶものはよく遊ぶという。命あるかぎり五月のようにさわやかに生きたいものである。